プロローグ

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 お父さん。    お父さん。  お父さん、お父さん、お父さん。 「もう少しぃ……」  神様に祈るような気持ちで必死にシートへ腕を伸ばす。 「お願いだから……届いてぇ……!!」  ガツンッ!!!!!!!!!!!  頭に強い衝撃を感じて全身の力が抜ける。  うつぶせになっていた身体は衝撃と強風で浮き上がり仰向けに変わった。  顔面に降り注ぐ雨の針。薄れゆく視界。  収穫に使っているコンテナがいくつも宙を舞っているのが目に入った。  記憶は、そこで途切れた。
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