キハダ

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「ヒスイは、羽根も持ってるから、人間より好きなのに」と、キハダが言う。 「キハダは、何で、人の言葉が喋れるんだ?」と、ギンシュが聞く。 「俺は、人に育てられたからな、だから、人間は好きなんだ」 「じゃ、どうして、あの二人は、殺したんだ?」と、セイジが聞く。 「俺は、人間が好きだから、戦わないって言うのに 全然、聞いてくれずに、挑んで来たんだ、仕方なく、糸で縛ったら死んだ。 女の子の骨は、記念に棚に飾ったが、男の方は、いつの間にか消えていた」 「ふ~ん、お前、どんな暮らしをしていたんだ?」と、ハクガが聞く。 「餌を取る時だけ、外に行っていたが、殆ど、あそこに引き籠っていた。 あまり外に出ると、強い敵に、殺されるからな」 育ててくれた人間が死に、ここで暮らす様になった、まだ、弱い時に 外に出て、殺されそうになってからは、ずっと引き籠っていたそうだ。 「だから、こんな旅に憧れていたんだ」 キハダは、辺りを、きょろきょろ見ながら言う。 こんな強い奴と一緒なら、自分も、守ってくれると、思っている様だが 今のキハダなら、かなり強い敵でも、やっつけられるのに 自分が、どれだけ強いか、まるで分っていないと、ベニーたちは思う。 「しかし、大人数になったな~」「ああ、これじゃ、人目に立つ」 と、言う事で、ゲンロウは、梟の姿に戻り、ヒスイと一緒に、空中を飛び ブルーは、山や森の、はるか上空を、ゆったりと飛び キハダは、行く先の木に、ねばねばの糸を、飛ばして絡め ひょい、ひょいっと飛んで行く。 今まで通り、歩いているのは、ベニーとハクガと セイジとギンシュの、四人だけになった。 移動手段は、様々になったが、狩りをしたり、食事を取ったり 寝る時、皆は、集まって来る。 ブルーは、キハダに人間の言葉を教えてもらい、かなり喋れる様になった。 それで、ブルーは、まだ、ほんの子供のドラゴンだという事が分かった。 「子供だから、して良い事と悪い事の、区別が、つかなかったのか」 と、セイジが言い「だからって、村を全滅させて、皆を殺した事は 許せないわ」ヒスイは、そう言った。 「だって、そうしろって、言われたんだ」「誰に?」「分らない」 「誰かも、分らない人に言われて、やったの?」ヒスイが怒る。 「まぁまぁ、そこら辺は、ドラゴンの国に行けば、分かると思うよ」 「そうだよ、なぜ人間の世界に、ドラゴンが居たのかもね」 ハクガと、ゲンロウが、ヒスイを宥める。 「よく分からないけど、ごめんね、ヒスイ」 どうやら、自分は、知らなかったとは言え ヒスイが怒る様な事をしたらしいと、ブルーは、謝る。 「もう、良いわよ、怒った所で、元に戻る訳じゃ無し」 ヒスイは、諦めた顔で言う。 そう言われると、ブルーは、もっと済まない、と言う気持ちになった。 「さぁさぁ、もう寝よう」ベニーがそう言って、皆、眠りにつく。 ブルーは、明日は、ヒスイが喜ぶような事が、有れば良いな~と、思った。
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