去り行く背中

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去り行く背中

 覚えているのは、後姿。  降り始めた雪が、まるで母の姿を隠すカーテンのように、私の視界を遮った。  走っても、走っても。  幼い足では追いつけなくて。  やがて、もつれて転んでしまった。 「おかぁさぁぁぁーーーーんっ‼︎」  膝の痛みと、どんどん小さくなっていく母の背中に、涙が止まらなくて大声で泣いたけれど。  それでも母が私の方を振り返ることはなく。  その姿は、とうとう見えなくなり、ただ、雪が静かに降り続けていた。  
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