愛しているから

17/18
30人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
「やだやだ! パパがおばけなんでイヤだ! 今度、サッカーしようって言った! 動物園にも行こうって言ってた! 全部、うそなの? もうできないの?」 「ごめん。もう叶えてあげられないんだ。紗那。今から言うことをよく覚えておいて。紗那とママは、他の人には視えないお化けが視える。他の人には視えないから、そのお化けと話したり、遊んだりしていると変に思われてしまう。  だから、紗那は、これからママに教えてもらって、人とお化けを見分けられるようにならないといけない。それから、一番大切なことは、お化けになった人とはずっと一緒にはいられないということ」  しゃくりあげながらも、紗那は一生懸命、彼の話を聞いている。幼いなりに理解しようと頑張ってくれている。 「パパはそろそろお別れしなくちゃいけない」 「どうして? ずっとこのままでいようよ! 困ることないよ? さなが気をつければいいんでしょ?」  確かにそう考えることもできる。でも、彼には消えてもらわなくてはいけない。だって。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!