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「よくないです。返して」
「いや!」
「Give(ちょうだい)」
「あっ」
ドクンっと心臓が胸を打ち、私は持っていた書類を宇佐美くんに手渡してしまった。
「ずるいわ、こんなことにコマンドを使うなんて」
「だってあなた、じゃないと言うこと聞かないでしょ」
「だからって……」
「あと無理をするのもダメですから。これは俺がやっておきます」
宇佐美くんに迷惑かけているわけでもないのに、彼が何でそんなこと命令するのか分からない。
私に無理させたいわけじゃないって言ったり、私の仕事を取り上げたり……。
何が狙いなの……。
私がじっと彼を見つめると、彼は勘弁だとでもいうように答えた。
「あなたに倒れられたら困るからです」
――ドキン。
なに、その顔。
いつも余裕の彼が必死にそんなこと伝える。
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