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そんな話をしたのは三日前。三日でお花見が叶ってしまった。まだ寒いから咲いてないんじゃない? って思ったら伊織先生が桁違いのことをやってしまった。でっかい植木の桜の木を近くの公園にお金の力で運んできた。もちろん、伊織先生のスタジオメンバーと僕らにょんたんずとお母さん以外のお花見客からはお金を取っている。お花見見物料とにょたチョコ男子見物料らしい。
「なんでこんなことあっさりできるのかなぁ?」
スイスイが桜の木を見上げて呟いてる。それは僕も知りたい。
「決まってるじゃん。にょたチョコ男子モデルとほんもの女子と俺らにょんたんずとわちゃわちゃしたいからだよ」
フーフーは当たり前じゃんと言いながら温かいココアを飲んでる。そりゃあ春と言ってもまだ寒いから飲み物は全部ホットだし、料理はお鍋だ。お花見客はちょっとだけ高い見物料を払うんだけど、飲み物と料理はサービスらしいからなかなか盛況だ。
『すっこしだけふしぎな! ふだんのおはーなしー♪』
げたんわお兄ちゃんがすかさずマイクを握って僕らでも知ってるアニソン歌ってる。
「げた様のアニソン聞かなきゃお花見って感じしないですものねぇ。次は良くんのド○えもんが聞きたいです」
「じゃあしゃららららだね」
束砂お姉ちゃんと香多お兄ちゃんが盛り上がっている。僕らがいるせいかお酒はないんだけど、伊織先生のスタジオメンバーは肝が座ってるなぁ。めっちゃ人いるのにカラオケする勇気は僕にはない。
「いやいやいや! その前ににょんたんずの歌声聞かないと!」
瑞稀先生が余計なことを言ってる。
「いいねぇ。にょんたんずのカラオケなんてそうそう聞けないしなぁ」
しれっと参加していた本乃社長もそんなことを。
「き……聞きたい……できればセクシーなの……」
「翡翠くん、伊織先生の言うことは無視していいから」
はぁはぁ息を荒くする伊織先生の言葉尻にタッくんが畳み掛けた。これもう歌わなきゃならないやつじゃん……。
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