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初まり
夜の映し絵のように仄暗い闇を抱えた野原を、心地よい風が吹き抜ける。
髪を掻っ攫っていく微風も、少女がここにきた頃から変わらない。
きっとこれは、ずっとずっと昔の話。
誰かが少女を見つけるまでの小さなお話。
ある時、少女は願いました。
壮大な星空に、反面する大きな湖に
ひときわかがやく明るい星に。
「ひとりはさびしい。誰かと一緒に生きたいです。」
夜空に溶け込んでしまいそうに小さな、少女の願いは。
遠くの遠くにある、一等星よりも強く眩しく輝く星が、
湖の向こうの地平線の彼方へも届くように、
煌めく流星にのせて
連れて行って、くれるのでしょう。
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