1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
闇に棲みつく正体
チュンチュンと小鳥の鳴き声が長閑な空気をゆらしている。
今日は暖かく風も弱い麗らかな天気だ。
今年は例年より遅咲きの桜が満開見せていて、ゆるりと風が花弁を落とした。
何度も歩いた帰り道も、今日はなんだか特別な気分にさせてくれる。
今日は新学年最初の登校日だった。
2年A組14番の白浜空の、新しい学年を掲げた新スタートだったのだ。
〜〜♪〜〜♪
そんなふうにのんびりと歩いていた時。
突然、機械的な音が鳴り響いた。
発信元は空の手の中。彼女のスマホだ。
3コール目の着信音の後、通話ボタンをタップし耳を押しあてる。
「はい。白浜です。」
「こちら倉井よ。急に呼び出してごめんなさい。至急、向かってほしいところがあるわ。
場所と詳細はメールで送ってある。
今から行けそうかしら?」
「問題ありません。」
「OK。
危険度はB。一応注意しておいてね。」
「了解です。」
最初のコメントを投稿しよう!