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あたしは、大の犬好きだ。
あまりに好き過ぎて、まわりの男性が、みんなわんこに見えてしまう。
例えば、会社の社長は、大へいで人相が悪く、太っているので、ブルドック。
課長は、小柄でよく動くので、柴犬。
そして、あたしの彼氏は、営業部トップの成績で、ワイルドなイケメンなので、ドーベルマンだ。
そのドーベルマンが、会計課のあたしの席に来て言った。
「今夜、大事な話があるんだ。いつものレストランで待ってる」
あたしは、ドキドキした。
ドーベルマンの彼と付き合って、三年、、。
そろそろ、結婚の話が出てもいい頃だと思っていたのだ。
しかし、、。
「悪い! 別れてくれ。他に好きな女が出来てしまった、、」
はあ?!
そんなのあり?
犬の分際で、人間の女を振るとは!
あたしは、ドーベルマンを思いっきり、ひっぱたいて、レストランの席を立った。
あたしが、泣きながら通りを歩いていると、同じ会計課の同僚、ラブラドールレトリバーに会った。
「どうしたんですか?」
ラブラドールレトリバーの彼は、その容姿のように、繊細で優しい。
あたしは、すべてを、ラブラドールレトリバーの彼に聞いてもらった。
話すと、楽になった。
「ありがとう。聞いてくれて」
あたしが、そう言うと、ラブラドールレトリバーの彼は、その茶色の優しい瞳で、微笑んで言った。
「僕で良ければ、いつでも話を聞きます」
あたしは、この「わんこ王国」で一番、頼りになって優しいわんこを見つけたのかもしれない、、。
そう、思った。
end
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