2.私がシングルマザーになったのは

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 結婚する気ないってどういうこと?  ベッドの中で、私のこと好きだって、愛してるって言ってくれたのに。あれは全部嘘だったの?  大体、そういうことをしたら子供ができるのなんて当たり前だし、一般常識じゃない。保健体育で習ったでしょ?  私は無言で涙を流しながら、沢山の文句を喉の奥に留まらせた。次々と湧き上がる彼への不満を涙とともに飲み込んだ。 「わかった」  手の甲で涙を拭い、封筒を手に立ち上がった。 「それと。もうこのまま別れるので良いよな? また妊娠したら面倒だし、沙耶だって嫌だろ?」  部屋を出る間際、彼氏の冷たい言葉を背に浴びた。  何それ。私のこと、まるで物みたいにポイって捨てるんだ。  そんなの、こっちだって願い下げだ。 「それで良いよ。私だって、もう二度と会いたくないし」  あんなに好きだった気持ちが嘘みたいに急激に冷えていった。ここまで薄情な人だとは思わなかった。  彼氏は「あっそ」と吐き捨てた。  封筒に入ったお金を手に自宅に戻り、そのとき初めて母に妊娠の事実を打ち明けた。  母は言わずもがな、驚き、言葉を失くしていた。彼氏に振られて堕胎手術のお金を貰ってきた経緯までを泣きながら話すと、何も言わずに私を抱き締めてくれた。  てっきり母には怒られると覚悟していたので、拍子抜けから安堵し、私は母の胸の中で小さな子供みたいに泣きじゃくった。
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