39人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
要らないだろ?
秋の高く澄み渡った空……というより、九月はまだ真夏だろ?
ギラギラと太陽が照りつけて日が当たる腕はジリジリと灼かれているようでちょっとピリピリする。
本気で夏休みをもっと伸ばして安全確保をすべきだと思う。
ここに辿り着くまでも暑過ぎるが、体育館なんて地獄だ。
「流星、これでいいか?」
蒸し暑さに耐え切れず、早々と運んできたウォータージャグを舞台の上に置いて扇風機を取りに走る。
「ん、サンキュ……って居ないのかよ」
俺、森力也の幼なじみでもあり、この啓南高校男子バスケ部の部長、吉井流星はキャプテンでありマネージャーだ。
本人は最初嫌がったが、顧問の澤田先生と先輩たち、そして、俺たち同学年でも意見が一致。
中学時代、事故で右肩を怪我して右腕が肩より上には上がらないために試合でプレーはしないがマネとして俺らを支え、練習には入ってビシビシスパルタのキャプテンだ。
春に先輩たち三年生が引退してしまって、俺たち二年は七人。
そして、新しく入った一年は四人。
流星を抜いたらギリギリ五対五ができるだけの弱小部である。
「あ!先輩たち、すいませんっ!!また準備先にしてもらっちゃって!!」
一年の末永孝大(コウ)が走ってくると、すぐに他の三人もバタバタとやって来た。
「いいって!暑いの耐えらんねぇだけだし」
俺が扇風機の風を浴びながら笑うと、コウたちはすぐにバッシュを履いてモップ掛けを始める。
一年は全員中学でもバスケ部の経験者で全員誰か顔見知りがこの部に居たため、俺たちは最初から笑い合える楽しい部だ。
最初のコメントを投稿しよう!