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剛は気持ち悪くなり、歩道に唾を吐いた。目的もなく、ブラブラ歩き電車に乗った。上野駅で降りた。天気は好かった。
下校途中の小学生たちが並んで歩いていた。体をぶつけ合って、ふざけて笑ってた。屈託のない表情が眩しい。
自我が芽生える前の人間だ。尊いものがある。
剛は、東北のどこかの崖から海に身を投げる光景が頭を過った。思い切って飛べば、この醜悪な世界から脱出できる。そう考えた。思いが固まれば、すぐに自殺できそうな気がした。
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