もしも魔法少女が…

1/18
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
今日は三体も怪獣が現れた。大きくて悍ましい、異形の生き物。大体恐竜とどこか似ていたが、明らかにこの世の物ではなかった。三体目の怪獣は紫色の鱗を持ったドラゴンのようなものであり、口から火を吹くことができるとても恐ろしい種類だ。 しかもその怪獣は今、俺の目の前にいる。 学校に行く途中だった俺は、たまたま怪獣とばったり遭遇し、尻餅をついて固まっていた。俺は口を開いたまま怪獣とにらめっこをしており、震えながら自分の紺色のブレザーが血で染まるのを待っていた。ああ、終わったな、と考えながら、自分の命の灯火が燃え尽きる瞬間を予想していた。食われて死ぬか、引っ掻かれて死ぬか、踏み潰されて死ぬか、火炙りにされて死ぬか。どちらがもっと苦しいのだろう。殺すなら一思いにやってほしい。正直、こんなことを考える暇も与えないでほしい。 あーあ…もったいないな。成績も、一応優等生と呼ばれるくらいには順調で、行きたい大学の入試も合格できそうで…何もかもが上手くいっている最中なのに。俺の今までの努力が無駄になってしまうのは…少し悲しいな。 怪獣はその黄色い目を光らせ、口を大きく開いた。俺は目を閉じて歯を食いしばり、業火に焼かれる覚悟をした。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!