第3話

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第3話

「待てぇい!」  何かが飛んできた。 「グヘェ!!!!」  ザックの開けた口の中に大きな岩が投げ入れられた。圭佑が投げたわけではない。  ザックはぐあぁああああと唸り、倒れ込んだ。圭佑は何事かと辺りを見回すとそこに見知らぬ2人が立っていた。しかしそのものも完全な人間ではなかった。  全身タイツ、それぞれ赤と緑。ポーズを構える。 「あなたたちは!?」  圭佑がそのものたちに聞く。 「僕たちはヨナオシジャー!」 「ヨナオシジャー?!」 「認定のスーパー戦隊だ」 「……戦隊がなんだか知らないけど助けてくれたのか?」  圭佑は安堵する。緑色の全身タイツが駆け寄り車椅子ごと体を起こす。  すると口の中に岩を入れられたザックが岩を吐き捨て唸り声を上げた。 「貴様ら! 前の時に倒したはずだったが……」 「ああ、あの時は負けた。でも僕らはもうあの時の僕らではない!」  そう、一度ザックはヨナオシジャーを倒しているのだ。 「あんな雑魚みたいな戦隊……本当にらくだったなぁ。簡単だ、すぐに飲み込んで……」  ザックはたじろぐ。 「てお前らには心の弱さがないっ!?」  ヨナオシジャーのオーラには弱さや悲しみが全くないのだ。 「言ったろ、あの頃の僕らとは違うと……ファイヤーアタックだ!!!!!」  といきなり炎の塊を投げつけられてザックは不意打ちで避けられずに当たった。 「ぐあぉあああ!!!」  予想以上に痛いとザックは地面を転がる。 「まだまだ! アイスブロック!」 「ぬぐあぉああ」  転がっていたザックに次は氷の山。悶え苦しんでいる。 「ヨナオシジャー、意外と残酷だな」  圭佑は口を右に引き攣らせて見ていた。 「俺たちはあの頃のへっぽこではない!」 「もう、弱くなんかない!」  ヨナオシジャーがそうザックに叫ぶ。ザックもなんとか痛い体を起こして立ち上がって笑った。  だが体が痛すぎて必殺技を出す気力が出ない。ヨナオシジャーたちは何か気を溜めている。  このままではまずい、と察知したザックはまた高笑いをした。 「ど、どうしたんだ?! 怪人ザック!」 「やられすぎておかしくなったか?!」  ザックは首を横に振る。 「今日はここまでだ!」  は?! という疑問系の空気がその場に流れる。しかもいつの間にか人だかりもできていた。  こんな中で負けたら死んだらしたくない、ザックはそう思った。 「また、いつか!」  と去っていった。 「待てー! くそ、逃した!」 「怪人ザックめ!」  ヨナオシジャーはガッカリした。
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