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「そんなに幸せそうに食べてもらえるなんて、俺も幸せです。精進しますので、またぜひ来てください。」
私が満足そうに食べるところが、気になってくれたそうなのだ。
3回目にお店に行ったとき、私と板前さんは連絡先を交換した。
そして、今でも連絡を取り合っている。
「私みたいなぽっちゃりが、あんなイケメンと出会えるなんて……。」
夢心地の私に、加奈子は言う。
「見た目だけじゃないのよ。美味しいものを美味しそうに食べるとか、楽しいことを目いっぱい楽しむとか、そんな女子に惹かれる男子もいるってことよ。」
本当に、そう思う。
元カレは、私の食べ過ぎるところが嫌になってしまったけれど、私が美味しそうに食べるところを見て微笑んでくれる人もいる。
少しぽっちゃりだけど、幸せそうに食べてくれる方が嬉しい、そう言ってくれる人がいる。
「明日の夕食、楽しみにしておいてください。最高のバースデーディナーを作りますから。」
そう言えば、そんなことを板前さんが言っていた。
「私の誕生日、どうして知ってるの?」
「あぁ……聞かれたから、教えちゃった。」
加奈子が笑いながら私から逃げていく。
「このー! 夕食、奢らせろ~~!」
本当に楽しかった。
この日は加奈子に感謝しながら、思い切り、食べた。
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