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ハル君の恋
「ずいぶん素朴そうだった。ああいう子がタイプなのかなって」
「だから違うって」
ひなたなんてまだガキンチョであり、別に異性として気になるわけでは断じてない。
「まー、たすくの趣味はいまだにわからないから。今じゃたすくの冷たさに気づいて言い寄る猛者もいないしな」
「誰にでも、平等に冷たいからね。私にも。私たすく以外にあんな対応されたことない」
ミキが笑う。
「そういえばさ、学園祭のミスター&ミスコンテスト、誰かいい人いない? 去年はたすくが直前で辞退して白けちゃったんだから、そういうことしない人」
ミキは去年ミスコンで優勝したせいか、今年は主催者側として参加するらしい。
「うーん。一年でかわいい男子いたよね。中性的な」
「あの子ねー。目立つね確かに」
ハルはわりと目立つようで、交友関係は狭そうだが、割と知っている人は多いようだった。
「自薦でも他薦でもいないかなー」
「自薦とか痛い奴しか来ないだろ」
そういうイベントに偏見しかないたすくが冷たく言い放つと、ミキが顔をしかめる。
「今は自己アピールの時代だからいいのよ。単なるイベントだけど、そこからモデルになったり芸能界にスカウトされたりもするし」
「キョーミないわ」
「はぁ……たすくに聞いたのが間違いだった。マモル君。誰かいたら連絡してよ」
「俺にとって一番かわいいのはカノジョで、他はみんな同じっていうか」
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