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②
1度目は同級生の真弓の事でだった。
真弓は、幼い頃にお父さんが亡くなりお母さんと2人暮らしだった。
生活が苦しいのは誰の目から見ても明らかだった。
けれど真弓には卑屈な所はなく、生活苦において愚痴をこぼしているのも聞いた事がなかった。
天真爛漫とはいえないけど、笑顔はそれなりに放っていた。
仲良くなったのは中学2年からだった。
偶然にもお互いに情熱をぶつけられるものが運動や芸術に感じられなかった為に帰宅部だった。
漫画やアニメ、小説や映画といった物に対しても、推しが出来る程、ハマりはしなかった。
そんな真弓がバイトをしている事を話してくれたのは、2年の秋頃だった。
何故、当時、隠し通さず私にその話をしてくれたのか、未だにわからない。黙っていれば誰にもバレる事はなかったのに。
真弓はお母さんの新しい彼氏の手にかかり無修正動画を違法サイトに晒されそれによってお金を稼いでいた。
お母さんの彼氏からは数千円だけ貰える、と真弓は話してくれた。
勿論、この事はお母さんは知らないと真弓は朗読するような口調でベンチの横に座りながら語った。
「警察に話した方が良くない?」
多分、私はそう言った筈だ。
何故、多分なのかと言えば、真弓の身に降りかかった事で、自分には関係ない事柄だからだ。
けれど、一応は友達だからと、私は親身になった振りをしてそのようには返したのだと思う。
「ううん。言わない」
「どうして?」
「殺そうと思うから」
なるほど、と思った。
誰かに一度でも相談したりしたら、その対象者の行方がわからなくなった時、相談した当人が疑われるからだ、と私は思った。
けれど話を聞くと真弓は捕まる事を恐れてはいなかった。
「私、未成年だし」
その日、最後に喋ったのがこの言葉だった。
それから半年が過ぎても真弓のお母さんの彼氏が死んだという話は耳にしなかった。
真弓からも殺したとも言われていない。
その期間、真弓はそれまでと変わらず私と付き合ってくれていた。
けれど年の瀬が差し迫った年末、真弓にある事件が起きた。
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