自称パチプロ、意地を張る

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 身体強化魔法さえ使っていれば刃引きされた剣で腕が千切れ飛ぶ事はない、ベルミリオはさっさとこの模擬戦を終わらせる為、ファビオに身体強化魔法を使ってほしかった。 『身体強化を使ってくれないと、現時点の強さがよく分からんからな』  あくまでも『強くてニューゲーム』の為に ファビオを鍛えようと思ったベルミリオには、この模擬戦の時間も無駄なものに思えたのだ。 「ドマーニ卿!お前は何故騎士団長を目指すんだ?まさか父が騎士団長だからいずれは俺もとか思ってるんじゃあるまいな」  睨み合って数十秒、ヴィゴールが口火を切った。 「昨夜の座学の問題を覚えているか?俺の答えは『幾ら植えてもキリが無い』だ」 「何だその答えは」 「お前らは知らんだろうがな、農業大臣である父上は、農地の開拓や、新しい農法、領民が豊かになる様に苦心し続けている」 「だが、騎士団の連中は豊かに実った側からどんどん掠め取っていく、俺はそんな騎士団が嫌で嫌で堪らなかった、だから俺は騎士団長まで上り詰め無駄な糧食を減らす、そうすれば、領民はもっと幸せになるはずだ」 「馬鹿を言え!騎士団が居なくて他の国に攻め滅ぼされたらどうなる!幸せな領民など一人も居なくなるぞ!この国を、この土地を守るために騎士団は必要なんだ」 「この国を守る?それがお前が騎士を目指す理由か!?」 「違う!」 「じゃあ何だ!?」 「母上との約束だからだ、俺は立派な騎士になる!」  言うやいなや、ファビオは飛び出した、斜に構えたヴィゴールの左手を狙う。 「甘いっ!」  身体強化を使っていれば、確実に剣を叩き落としていただろう、だが、ベルミリオに焚き付けられたファビオは恩恵(ギフト)を使わなかった。 ガイィィンッ!  片手剣は弾き飛ばされ、ヴィゴールの剣が喉元に突き抜けられる。 「もう一度だ!」 「何?」  皆が呆気に取られる中、ファビオは飛ばされた剣を拾って構えた。 「行くぞヴィゴール!」  力いっぱい振り下ろす剣を、何度も弾き飛ばされ、その度に拾っては構える、他の見習い達はその姿に呆れていたが、ヴィゴールは怒りが募っていった。
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