青銀の輝き

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青銀の輝き

青銀の輝き ーouverture(序曲)ー ー時は明治4年ー 廃刀令が侍達に出されていく最中で。それを受け入れることに抵抗を感じる者ーいわゆる壬生の狼の残党たちが、いた。 その一人である、山口一 ※改名後、斎藤一(さいとう はじめ)は その頃、警視庁に勤務をしていた。それなら銃刀法違反からも気にすることなく、 自分の愛刀である鬼神丸国重(きじんまるくにしげ)をいつも肌見放さず所持していた。 彼にはその頃妻がいた。 名を篠田やそ。街一、二を争う 絶世の美女で通っていたという。 彼女は薄幸の蛍の如しでありながら、いつも心配をさせないように振る舞っていた。 そんなある日のこと。 彼は迂闊にも、仕事の付き合いで滅多に酒に口をつけないよう努めていたが、付き合いとはいえ上司の鶴の一声に付き合えず 酒を口に含み、喉を潤す。 本来彼は、酒豪の持ち主でもあり、 ※ザルだったのだ。 ー胸騒ぎがするー ー某の感は根拠はないのだがー 気の所為だと良いが。。。 この日は、亥の刻に差し掛かった頃だった。 ー珍しく※鱈腹口にしたー ー酒も20歳過ぎて以来やも知れぬー 一「某は、今日はこの辺りでお暇するで候。御免!」 ?「おー!気を付けて帰れよ、奥方に宜しくとな」 一は寡黙な男だった。そして慎重な性格であり、過去に二重にも三重にもスパイ活動をしていたという。又彼を支えていたのは  奥方以外の女性がおり (つまり、愛人というやつだ) 今の京都、東京(江戸)あるい は大阪等(大坂ーおおざか)を含め あちこち点々とその愛人同士達も 連絡を取り合い、 一に有益な情報を与えていたという。 (一部の仮説では、彼が大正まで生き延びる理由ができたのは、彼自身愛人を作ることで自分の身に危険が及ばないかと言う計算、情報網を駆使していたからとも伝えられていたとか、何とか。) 彼は愛人達に、愛ではなく。 有益な情報を貰い(例えば京の京都の〇〇がーの命を狙っていて集中的に待ち構えて包囲網を作り現時点で危険、彼女達は肉体や情報を差し出すことと、一が多額のお金を差し出す事を条件にしていたと言う交換条件だったと言う。つまりギブ&テイクのようなものだったという) ー近藤さんが亡くなって、何年になっただろうー そして何故自分は此度の事を 走馬灯の如く思い出したのか。 あれは…自然に亡くなったのではない。 意図的に誰かが指示したものやも知れぬ。 ー解せぬが、とうに過ぎたことだー ーまぁ今は良いー ー忘れるが吉と言うこともあるー やそが、某の帰りを待ちわびてるのだから。 彼が本当に心から愛していた女性は、 ただ1人。 ※篠田やそだけだった。 が、※刹那。 彼は前代未聞の恐ろしい事件に巻き込まれる。 自分の人生の全てだったと言っても過言ではなかった。 彼の妻ー篠田やそが、変わり果てた姿で男達に襲われていた。 結い上げた髪は、振り乱れ 着物も同じように雑巾のような有り様である。 そして彼女の瞳にはいつものような光は、灯っておらず。 もはや乱心した老婆そのものさえ感じられた。 やそ「…み、見ないで!!あなた」 一は何がここで起こったのか、 既に想像が着いたのであろう。 怒りを鎮めることなく、あっという間に、男達がバッタバッタと鮮血を帯びながら、ゴキブリとなり、倒れていく。 ー「お前が奴ら(きゃつ)の※頭のようだな。言え、さすれば痛みを極力させずコロしてやろう。」 ?「もし、無理だと言えば?」 一「俺は妻がこのような状態を理解してるのでな、気が立ってるのだ。それ相応の拷問をすることを覚悟で言ってるのだろうな。」 鈍く淡く、月の光と星の輝く刀は恐ろしくも美しく気高い孤高狼の瞳にさえ、今は誰もが見えたのかもしれない。 ー「痛みを知らずして、あの世へ仲間と共に地獄で相見えるか、それとも某の拷問を生きて味わうか、好きな方を選ばせてやろう。…お前達は雇われたのだろう?言え、誰の差し金だ?」 ー「3秒だけ待ってやる。とっとと言え」 容赦無い拷問をされながら、 頭の男は観念したようにベラベラと話し始めた。 グシャ。 断末魔の悲鳴をあげながら その男は虚しくも、ゴミの残骸の群れとなる。 ー「やそ、許せ‥ ※不甲斐ない、某を」 ー「この責任は、必ずや」 彼は静かに目を閉じた時。 大きな光が口を開け、彼自身を飲み込んだのだった。 (第一話に続く) ー🧚ここまでの用語🧚ー ※戒名(かいみょう)ー昔の人の名前は その人個人を表すというよりは、 「その人がどんな地位にあるか」 といった、類型を表す側面が強かったと されています。 名前が所属や地位を表すということは、 所属する勢力や年齢に伴う地位が変われば、名前も変わったということです。 ※頭(かしら)ーあたま⑴。  「―に霜を置く」(白髪になる) 2.一群の長。首領。特に、仕事師・町火消(まちびけし)の棟梁(とうりょう)。 「―を呼んで来い」。更に広く、 一番上や一番初めにあること、 またはもの。  「七つを―に四人の子持ち」 3.疑ったり怪しんだりするのに使う。  「あれでいい―」 4《「くれない」等の下に付け》 依頼を表す。  「あなたに行っていただけない―」 ※不甲斐ない(ふがいない) 情けない、意気地がないなどを意味する形容詞。精一杯努力したにも関わらず、結果が出せなかった時、その事で周囲の期待を裏切ってしまった時などに自分自身を表現する言葉 ※薄幸の(はっこう)ー 幸福に恵まれない運命にあること。 ふしあわせ。不運。  「―の佳人」 ※刹那(せつな)ー極めて短い時間、 また瞬間 ※某(それがし)ー名前を出さないで 人を指す語。なにがし。 2.わたくし。
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