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スピーカー越しに、カタカタとキーボードを打ち込む音が聞こえてくる。
右京に関する情報をパソコンか何かで閲覧しているのか。
その間も、天満は赤いトンネルを進んでいく。
鳥居の隙間から見える頭上には高い木々が生い茂り、灼熱の太陽を遮ってくれている。
それでも気温と湿度は一向に下がることなく、全身から次々に汗が噴き出てくる。
さすがにこの酷暑のせいか、すれ違う観光客はほとんどいない。
やがて鳥居が途切れ、さらにその先にある竹林を抜けると、今度は一見墓地のような場所に出た。
あちこちに墓石のようなものと、ミニサイズの鳥居がバラバラの向きで並んでいる。
それらは『塚』と呼ばれるもので、稲荷神を信仰する人々が個別で奉納したものだった。
「なんだかあの世への入口みたいだなぁ」
辺り一面に並ぶ小さな鳥居。
それらの赤を見つめていると、段々と目が回りそうになってくる——と、気を抜いていた天満は本当に目眩を起こして、途端に足のバランスを崩した。
「おっ……と」
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