微睡む夢に、愛執の影 Ancient Egypt. At Thebes.【2】

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「幾星霜の時を経ようとも、私の愛は変わらずにあなただけのものです。必ずこの手で、あの呪われた老神官(アイ)の身に刃を突き立ててみせます」  愛する人の血にまみれた手で鎮魂を願い、果たすべき復讐を王妃は誓う。 「時代がどれほど変わろうと、連綿と生の営みを繋ぐ、美しき睡蓮たち。清浄なこの花が人々から愛され続けるように。同じように、私の想いもずっと生き続けていくでしょう」  薄幸の王女、アンケセナーメン。小さき乙女の魂は今、生きながらにして輪廻の狭間へと旅立つ。  無機質だった彼女に自由と平穏を与え、慈愛と激情を教えた美しき王、トゥト・アンク・アメン(Tut-ankh-amen)とともに。  ——たとえ、この身は滅びようとも、魂に刻んだ想いは決して色褪せない。  永遠の愛を、あなただけに。 【第一部・完】
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