15人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「幾星霜の時を経ようとも、私の愛は変わらずにあなただけのものです。必ずこの手で、あの呪われた老神官の身に刃を突き立ててみせます」
愛する人の血にまみれた手で鎮魂を願い、果たすべき復讐を王妃は誓う。
「時代がどれほど変わろうと、連綿と生の営みを繋ぐ、美しき睡蓮たち。清浄なこの花が人々から愛され続けるように。同じように、私の想いもずっと生き続けていくでしょう」
薄幸の王女、アンケセナーメン。小さき乙女の魂は今、生きながらにして輪廻の狭間へと旅立つ。
無機質だった彼女に自由と平穏を与え、慈愛と激情を教えた美しき王、トゥト・アンク・アメンとともに。
——たとえ、この身は滅びようとも、魂に刻んだ想いは決して色褪せない。
永遠の愛を、あなただけに。
【第一部・完】
最初のコメントを投稿しよう!