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どうやって誤魔化そう
違う人が父親だと言っても、そんな相手は居ない
身体を売っても、本番は一切しなかったから…
拓也以外に抱かれなくなかったから…
だから、嘘でも違う人が父親だなんて言いたくなかった
何より、こうやって二人が仲良く並んでいる姿を見ると、思い知らされる
誰が見てもこの二人が親子だというのがわかってしまうくらい、よく似ている
素直に言ってしまおうか…
「あの時、実は妊娠してた」って…
そしたら、認知してくれたら、今の生活もマシになるかも...
保育所にも入れることが出来たら、昼間も働きに行けるから拓に好きなモノも買ってあげられる
3人で暮らすなんて夢は…無理だろうけど…
でも、拒絶されたら…万が一、拓を取られたら…
そんなの、生きていけない…
拓だけは渡せない!
拓也にだって、施設にだって、拓は渡さない
拓だけは…取らないで…
今にも泣き出しそうな顔で二人を見つめていたせいで、拓がオレの頭を小さな手で撫でてくれる
「おいたん、パパ、おこっちゃだめ!パパ、いいこ、いいこ」
拓也に向かって頬を膨らませて怒っている息子の姿に勇気が湧いてくる
うん、この手は絶対離さない
オレが産んで、育ててきたから、絶対離さない!
「うん、あの時の拓也との子どもだよ。ゴムとかしっかりして避妊してたのに、まさかの妊娠が発覚して...さ……
拓也には本命の美人な彼女さんが居たのに、オレみたいなのが相手をして貰ってたから、これ以上拗れるのも悪いと思って…
大丈夫!この子はオレ1人で育てるから!
拓也にはもう大切な番の奥さんが居るんだろ?オレとの関係はボランティアとか好きな人の代わりだったんだし…
あ、恋人が居るなら先に言っとけよ!あの時、彼女さんと鉢合わせしてめちゃくちゃ気まずかったんだからな!
まぁ…昔のことだし、もう大丈夫だろうけど…
オレは大丈夫だから。極貧生活だけど、この4年なんとかなってきたし。拓も元気に育ってるから」
ギュッと息子を抱きしめるとキャッキャっと嬉しそうに笑い、同じように抱き付いてくる
オレの唯一の大切な宝物
この子の為なら、身体を売るなんて、ツラくない
また発情期も戻ってきたから、こんな平凡顔のオレでも需要はあるはず…
本番有りにしたら、もっと沢山稼げるようになるし…
どんな仕事でも、この子の為ならなんでも出来る
「認知とかしなくて良いから。これ以上迷惑かけたくないし…
今日のこと、忘れてくれていいから」
「俺がお前の番になれば問題ないんだろ?昔も言ったが、俺にさっさと噛まれて番になればいい」
昔から変わらない、勝ち気な笑みを浮かべ、当たり前のように言ってくる
冗談だとわかっていたあの時は、笑いなら怒って文句を言えていたのに…
それでも、当時も何度流されて頷きそうになったかわからない
冗談を本気に取って、嘘だって言われるのが怖くて、面倒な奴だって思われたくなくて…
必死に笑って文句を言って、冗談を聞き流していたのに…
それなのに、今、同じように言うなんて…ズルいよ
奥歯を噛み締めて、無理矢理笑みを作り
「拓也とオレでは釣り合わないだろ?ってか、拓也にはもう決まった番が居るんだろ?
なのに、子どもが居たからって責任なんて感じなくていいから」
バンっ!!っとテーブルを叩かれる音にビクッと身体が強張り、息子をギュッと守るように強く抱き締めてしまう
拓も音とα独特の威圧感に驚いて泣き出してしまった
「はぁ………悪い。とりあえず、今日は帰る
後日迎えに来るから、片付けをしておけ!コータ、絶対に逃げるなよ」
イライラしているのか、自身の前髪をガシガシと掻き、子どもを泣かせてしまったことへの罪悪感からか顔を背けながら言い放つ
オレは、なかなか泣き止まない息子を抱え、恐怖から歯の根が合わずカチカチと音を立てながらもしっかりと頷いてしまった
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