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ましゅまろとチナモン
「ただいま~」
「みおちゃん、おかえりなさい!」
帰宅すると、いつものように真白が元気よく出迎えてくれる。勉強で疲れた頭が真白の笑顔でぽんやりと癒される。私は女だし結婚なんてしたことないけど、奥さんに出迎えられる旦那さんの気持ちはこんな感じなのだろうか。家に誰かが居てくれるって素敵なことだ。
「きょうもおべんきょうおつかれさまでした。がっこうはたのしかったですか?」
「ありがと。うん、学校はとっても楽しいよ~」
「ましろもがっこうはたのしいです」
真白は私の方へ腕を伸ばしてきて、よくできた奥さんのように荷物持ちをしてくれようとする。靴を脱ぎながら鞄を渡すとにこにこ笑顔で受け取ってくれ、洗面所へ向かう私の前を歩く。なんだか今日の真白は凄く機嫌が良さそうだ。
「さあどうぞ。こちらでおててをあらってうがいです」
「今日はどうしたの? 何かいいことあった?」
手を洗いながら聞いてみる。
「どうしてわかったんですか? きょうはとってもいいことがあったのです」
そう言って真白はリビングへ走っていく。数秒後、戻ってきた真白の握られた手からは、白い小さな物がはみ出している。焦らすようにゆっくりと開かれた手の上には、チナモンのキーホルダーが輝いていた。
「チナモンのキーホルダーだ。どうしたの?」
「きょう、かえりにみたらおみせのがしゃぽんがあたらしくなってました。それで、ちなもんのきーほるだーがあったのでやってみたらでたんです! しかもしーくれっとだったんです!」
チナモンのキーホルダーを抱きしめてその場でくるくると回転する。真白は可愛いキャラクターが好きで、中でも特にお気に入りなのがチナモン。真白の部屋にはチナモンのぬいぐるみや抱き枕、ポスターもある。見た目は白い兎に見えるが、実は兎ではなく犬らしい。
「すごいじゃん。これで真白のチナモンコレクションがまた増えるね」
「はい。ましろのあいがつうじてよかったです」
私はちっちゃい真白のキーホルダーが欲しい。今の時代であれば3Dプリンターとかでどうにかならないかな。笑ってる真白。怒ってる真白。食べてる真白。眠ってる真白。色んな真白のキーホルダー。そんなのがあったら入れ込む自信しかない。私だけじゃなくて、きっと佳賀里とかもそうだろう。ご近所さんにも真白にメロメロになっている人は多いのだし。
「ち、ち、ち~♪ ち~なもん♪ どうしてそんなにかわいいの~♪」
チナモンも可愛いけど私にとってはやっぱり真白が一番可愛い。こんなに可愛い生物は地球上どこを探してもいないだろう。
「お姉ちゃん着替えてくるから鞄ちょうだい」
「あ、みおちゃんのかばんはさっきどこかにとんでいきました」
「なんで!?」
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