見える【少年】

2/14
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
「わたし見たの。伊予くんの目、確かに金色に光ってた。あんまり伊予くんのこと知っているわけじゃないけど……でも普段の目はあんな色じゃなかったと思う」 「ああ」 「東雲くんも魔術使うとき目が金色になるよね。ってことは、伊予くんも魔術士なの?」 東雲くんは『うーーん』と目を閉じて何度もうなった。 以前もこういうふうにしていたから、考え事をするときの彼の癖なのかもしれない。 「伊予くん、は…魔術士ではない。魔術士は魔術士の家系からしか出ない」 ひとつ、ひとつ、まるで自分で事実確認をしているかのように東雲くんはつぶやく。 「そして魔術士の家系は今じゃごくごく少なくて、お互いにすべて把握している。 伊予くんは……魔術士の家系じゃないよ」 ハッキリ断言する東雲くん。彼はこんなときに嘘をいう人ではないと思う。 てことはこれが真実だ。 「そ……か。じゃあ、伊予くんの目は見間違いだったのかなあ。結構、不思議な感じがしたんだけど」 「不思議な感じ?」 「そう。ふわっ、みたいな。ぞわっ、みたいな。昨日東雲くんの魔術を見たときと少し似ていたかもしれない」 身振り手振りで説明すると、東雲くんはまたもやうなった。今日は考えさせてばかりだな。 「あのさ、伊予くんは魔術士ではない。これは間違いないよ」 「うん。わかった」 「でも伊予くんは、魔術が使えるかもしれない」 「ええ!?」
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!