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サイドを剃り上げ、モヒカンへと整える。
なぜなら我々はハブノッツ。日に三度湯浴みをする清潔な漢達だ。
あの日、私の目はすっかり醒めてしまった。
限界突破の報せは、おやびんを理解するための福音であった。教会からの追放は、おやびんを理解するための試練であった。
目醒めた私は平伏し、改めておやびんから奴隷紋を戴いた。
新たな奴隷紋は顔面の中央にお願いした。皆は引いてたが、めっちゃ気合い入ってて私的には気に入ってる。
あれから二年。女共は今日も変わらず、何とかおやびんのお手付きになろうと必死に迫っている。全く無理解も甚だしい。だっておやびんは聖人なんだから、肉欲とか下品なのもうないのに。ホント呆れるわ、聖人だぞ。
信仰?もちろん失ってなどいない。私は今も敬虔なる神の下僕。おやびんを信仰する哀れな子羊である。
しかしながら、おやびんは神の遣わした聖人なのに、誰もそれに気が付かない。
その理由は単純明快で、聖人の認定には奇跡が必要なのである。
故におやびんは、実はまだ未聖人。
おやびんが真聖人に足るには奇跡が必要なのだ。
他人に興味のなかったイケメン同級生が野暮ったいオタクメガネの私にだけグイグイくる程の奇跡。
それを捧げるのが、私の天命なのだ。
私が、私こそが誰よりもおやびんを理解している。
おやびんを聖人として推し上げるのだ。
おやびんの望む『痛みを知る英雄』を、私が産む。
私は聖人を聖人足らしめる、真の殉教者となるのだ。
現在レベル231。準備は整った。
さあ、おやびんを拐って、魔族領で殺そう。
そうしておいて、私は魔王軍に下る。
その後は寝ていればよい。
二人の英雄により、程なく戦争は終わるだろう。
『痛みを知る英雄』
愛が、世界を救うのだ。
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