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クタクタになった私を三隅は久しぶりのバーに誘った。いつものカルアミルクを頼む私の隣で、三隅はソルティドッグを頼んだ。
「三隅ーーじゃない洋輔、お酒苦手なんじゃ」
「俺そんなこと言いました?」
「いやだって、ノンアル」
三隅は珍しく目線を泳がせた。
「だって、今までは好きな人と二人きりだったんですよ。いつポロっと告白するかってヒヤヒヤしてて。もし誤って告白してしまったときに酔ってたら絶対に愛乃さんはマトモに取り合ってくれなかったでしょう?」
「それは......えっと、そう、なんだけど」
私の記憶では大学時代に最初に飲みに誘ったときから三隅はノンアルしか飲んでいない。熱心に姫乃を売り込んだときも、人生相談をしたあの日も、ずっと。お酒のないお店に行こうかと言っても、それだと岸さんが呑めないからと断られた記憶がある。
「もしかして洋輔、私のことずっと前からめちゃくちゃ好きだったりする?」
いつも飄々としている三隅がアルコールをまだ口にしても居ないのに真っ赤になった。
「今更!」
ーーおわり
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