プロローグ

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プロローグ

私は海未(うみ)。カフェ店員になり 2年目。 近くに会社が何社もあるので、いつもカフェはお客さんで賑わっている。 毎日たくさんのお客さんが来る中で、気がつくと目で追ってしまう人がいる。 背は高く 手足は長く 顔立ちは整っていて 一言でいえば かっこいい人。 バイトの女の子達や 店内の女性客も その人が来ると 色めき立つ。 でも 私は その人の容姿より 声に惹かれた。 注文されたものを持っていった時の 抑揚のない「ありがとう」に 心が引っかかった。 ニコリともしないのに なぜか心がこもってる気がした。 その人は 1人で来ると たいていノートパソコンを開いて作業してる。 でも 友達らしき人と来ると 少しだけ表情が柔らかくなり、会話の声が聞こえるのが嬉しかった。 直接 その人と話をする日なんて来ないだろう。 だいたいどんな話をしていいかもわからないし。 こうして 遠くから時々見ているだけで せいいっぱい。 そんな毎日が これからも続くと思っていた。 
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