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VS魔王⑩
前世の恋人に呪われた俺は、おそらく、生まれて初めての恋を成就させるのをあきらめた。
戦うまえに敗北宣言するのは、悲しく虚しいものだが、ワルイことばかりでなく、相手に過剰に期待してヒステリックになり暴走をしなかった。
俺の望みは多くなく、しぼられた目的を果たすのは、そう難しいことでなかったし。
そう、今の俺も、自分がなにがしたいのか、分かりきっている。
俺が報復されるのは自業自得なれど、なにがなんでも勇者を巻き添えにしないこと。
そのために、絶対、魔王に勇者を手だしさせないよう手を打つこと。
方法としては、俺が身を捧げ、魔界に魔王をつなぎとめておく。
だけでは、ダメだ。
前世でも今世でも、五股したことに、これっぽっちも罪悪感はなく、懺悔する気もさらさらない。
この期に及んでも、正直、彼女にワルイと思わず、ふりでも、謝りたくもない。
転生して魔王にまでなって、世界征服にかこつけ、俺を魔界に監禁し犯しまくろうと企てる「真の愛」なるものに「そこまで俺のことを・・・!」と感動もしていない。
つまり、前世と変わらず、彼女こと魔王をスキになれない。
生理的に受けつけない、まではいかないが、相手の言動がいちいち癇に障るし。
そんな心持でいては、魔界で二人きりのセックス漬けの日々に、はじめは悦に入っても、しばらくもすれば、物足りなくなるだろう。
きっと体だけでなく、心も欲しくなる。
俺の気を引くため、勇者がダシに使われる可能性が高い。
そう、だったら。
「・・・はっ、真の愛?笑わせるなよ。
すこしは格闘家を見習ったらどうだ?
格闘家は俺と勇者の関係を知りながらも、それでもスキでいたいって、情けたくてもすがりたいって、すなおに伝えてきた。
いじらしくて健気で、そりゃあ、もう、お前にはない、可愛げが溢れてるってもんだよ。
『スキになってもらえるチャンスがあるなら、手にしたい』ってまっすぐな目で見られたら、絆されそうにもなるって。
実際、彼はスキになってもらうよう努力を怠らなかったしな。
比べて、おいおい、お前はどうだってんだ?
話しあうどころか、ろくに自分の思いも考えも口にしないで、ヒステリー起こしたまま独りよがりに俺を殺しやがって。
転生しても改心しねーし、お前こそ謝らねーし、罪悪感もなさそーだし、なんなら魔王になって、際限なく傲慢になってんじゃねえの?
ほんと、魔王のくせに、格闘家より心狭いし、ちっともカワイゲがな・・・」
皆まで云わせてくれず、いきなり魔王の巨根で貫かれた。
慣らしてなく、キャパオーバーの質量を突っこまれれば、体が耐えられないはず。
が、股が裂けることも、体が破裂することもなく。
すこしもつっかえず、ぬりゅりゅりゅと滑りこみつつ、ずぐちゅううう!と大砲の弾を打ちこむような重圧を奥に押しこんで。
生意気な口を叩いていたのが一転「はああん!」と女のように高く鳴いて、しょっぱなから、メスイキ。
セックスにおいて、デカければ、デカいほどいい。
ことはない。
が、フィクションのエロは巨根崇拝。
デカさに比例して快感がもたらされ、許容量の限界はないという、めちゃくちゃな設定がまかり通る。
魔物に犯される悪夢で、メガトン級の巨根に慣らされた俺はもっと抵抗感がなく、ただただ魔王の巨根を甘美に味わってしまい。
快感に痺れきって「ひゃは、ふは、やらあ・・・」と舌が回らない状態になったなら、体をひっくり返され、バックから、ずっちゅうううう!
「あああう!や、らあ!やらああん!」とまたイって、抗議する暇なく、退いては突っこみを繰りかえされ、ずぷずぷあんあん連続絶頂。
イキっぱなしで、半ば意識がない俺に「改心しない!?謝らないだと!?」と突きあげながら、むきになったように怒鳴りつける魔王。
「自分のことを棚にあげて、よくも人をコケにして、笑えたものだな!
どう考えたって、五股したヤツがワルイに決まっておろうが!
『浮気されたほうがワルイ』とばかり、被害にあったわたしにも非があると責めたてるつもりか!?
浮気されて、怒るのが当たり前で、怒らないほうが異常だろう!
されたほうの責任を問うなど、浮気したヤツの、どこまでも自己中な正当化にすぎん!
う、くう、ぐうう・・・ふ、まあいい。
わたしの真の愛を、その体に延々に叩きこめば、お前の愚考もあらたまろう」
「はあん・・・!あ、あん、ああう、や、あん、ら、らめ、らめえ、あふ、あん、あん、や、やああん!あん、やあ、やああ、ひあ、く、あ、ああん・・・!」
身の内で暴れまわる快感に、狂ったように喘ぎ悶えながらも、あえて「やだ」「だめ」としきりに悲鳴をあげた。
魔物に犯される悪夢で学習したこと。
あんあん股を濡らしつつ、言葉では拒絶しつづける、いたいけな足掻きに、相手は鼻息荒く、目をギンギンにしやすいと。
そう、魔王を興奮させ、セックス以外、アウトオブ眼中にさせるために煽っている。
算段があってのことで。
巨根で俺を揺さぶるのに夢中になれば、とっておきの切り札が使えるのだ。
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