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 この時の私は、まだ知らなかった。  精霊のシンジュこそが、姫を贄にした当時の王が償いのために捧げた魔力と血を神力で内包した祝福の宝石の化身で、私の母方の祖父母が巻き込まれた海難事故がアクアフォティアの姫を生け贄の花嫁に求める海の災いの仕業だったことも。  アクアフォティアの姫の転生体がヒロインで、王家に連なる神の依り代が捧げる十八年分の記憶が、ゲーム中に親密度を上げられるヒロインの弟ユリウスと精霊シンジュ、攻略対象の第一王子ネージュリオン、ジークレイン、ライルファイン、クラウドの六名それぞれの三年分を指し、全員の親密度を100%にすることで海の災い関連のシナリオに移行することも。 『海に記憶を捧げよ』  石碑の近くで聞いた声の意味も……何も。  本来であれば、ヒロインと幼少期にあまり交流がなかったはずの彼らとの関係が運命を変えたことにすら気付いていなかった。 つづく?
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