3. その呼び方はやめてください

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「レシート出しといて、後で払う」 「そんなのいいですよ。これ100均で買ったので全然高いものじゃないですし」 これは私が勝手にしたことだし、それで少しでも使いやすくなったと思ってもらえたのなら、それだけで私にとってはお値段以上の価値がある。 認めてもらえたとまでは言い過ぎかもしれないけれど、それでも自分のアイデアを褒められたようで嬉しかった。 「変なやつ」 「んふふ」 自然と顔が綻ぶのを隠せない私に、新堂さんがぽんと何かを頭に載せた。 「それ、シュレッダーにかけといて」 慌ててそれを受け取ると、クリアファイルの中にはたくさんのデザイン画が入っている。 「これ全部廃棄でいいんですか?」 「そう、さっきの打ち合わせで全部却下になったから」 新堂さんは事もなげに言うと、デスクの上にある段ボールの中を覗く。 その中には私がシュレッダーにかけるのを後回しにしていた、ボツ案のデザイン画がすべて入っている。 「なんだ、これまだ捨ててなかったのか」 「はい…あの、毎回こんなに?」 「そうだな、毎週プレゼンが2、3回あって毎回最低5、案件内容によってはその倍は出す。1回でハマるのが当たればいいけど、ほとんどは候補を残しつつ『もっと他の案もほしい』となる」 そう言って、新堂さんは段ボールの中から一番上の1枚を手に取った。
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