消したくない、君を

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 俺たちがそっと離れると同時にドアが開く。 「あの〜」と顔を出したのは『彼女』の父親。 「なかなかこっちの部屋に来ないから心配で…ここに居たのか」  ん?親には会ったんだよな? 「あぁ、やっと会えた。だが私たちのことを忘れてしまっているのか」  父親が両手を広げて抱擁を求めたが、すぐに引っ込めてしまった。  あれ?人間に戻って、今初めて会う感じ?  ーーーそういえばさっき、「、一目惚れした」と言っていた。  俺は驚いて『彼女』の顔を覗き込む。 『彼女』はとぼけた顔をして、ペロッと舌を出した。  ……魔法だって完璧ではない。 (おしまい)
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