見つけたよ、君を

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見つけたよ、君を

 世の中に『魔法』が存在して、人間に悪さをする『魔物』を魔法使いが退治する、そんな世界。 「おい。明日ウチの管轄の獄所に、やっとあのお方がくるらしいな」  魔法使いであり魔物討伐部隊の小隊長が酒場でエールをあおりながら、別の隊の小隊長であり友人の男に話しかける。 「そうらしいな。魔法科学研究所第三課課長のエリート研究員だろう」  男は一気にエールを飲み干し、つまみの干し肉に食らいつく。 「そいつのおかげで魔物討伐も昔に比べてなったよなぁ」 「そうだよ。消滅させずに捕らえるのは、こちらのリスクが高すぎる。だが、俺らだってやれることはやってやりたいからな」  悪さをする『魔物』の中には、無理やり『魔物』にされた人間がいる。  もし人間の形をした『魔物』と出会った場合は消滅させず捕らえておくこと、と数年前に魔法使いの上層部から全世界の討伐部隊へ通達があった。 「魔法科学研究所が開発した『魔物』を人間に戻す薬って本当に効くのかな」 「さぁな。まぁ早くその薬でも何でも使ってくれないと、ウチの獄所で相部屋をお願いしなくちゃいけなくなっちまう」  つまり、定員に達しそうなのだ。 「それってさ、もともと悪い奴だったらどうなるんだ?自ら『魔物』に変化した奴」 「さぁ、聞いてみればいいんじゃないか?」 「聞くって……誰に?」
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