お手紙ありがとう

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 1.「整理」には、まず時間差で送受信をコントロールする方法があります。    郵便屋さんからのアドバイスレターにあった言葉を、小弥太は麗子にそのまま伝えた。そして手紙を出してもらうのは水曜のみ、小弥太の返事は金曜というサイクルにした。  次に必要なのが両親の説得だ。これが結構難関で。  小弥太の住む自治体と違って、まだ郵便制度が少し旧体制なため、何度説明してもわかってくれない。つまり、送受の量制限がないので「ポストが詰まる」ことが理解できない。  メールが苦手な世代で、しかも筆まめ。えらく長文の手紙をやたら送り付けてくる。返事を書くのが面倒なので放っておくと、郵便事故かもしれないと訝って、以前の手紙を同封しつつ「あれはどうした」「これはどうなの」と新たに長文が加わってどんどん膨れ上がるのである。  なので、毎月第一月曜日。それを徹底してくれと何度も言い続けた。試行錯誤の末、母が忘れない唯一の日――実家の燃えないゴミ出しのその日に何とか定着した。  それから友達。それは割とランダムだ。  メールだと割と行間を読めない奴も多いし、しゃべるよりめんどくさい。手紙だともっとめんどくさいと思うのだが、会話というより送り付けたがるだけの友達が多いのだ。書道家や漫画家といった、生の手書き・手描きを見てほしいみたいで。それで、彼らには火曜に送ってくれと定める。  と、うまいこと割り振ったつもりでいたのだが、予想外の相手が飛び込んだ。  
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