笑いと楽しさをケーキに乗せて

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その時、小さい子供が手を挙げた。 「僕、わかったー。9のボタンを押すには背が届かないからでしょう?」 一瞬、シン…となるクイズ空間。 そして、次の瞬間。 「正解です。よく解りましたね」 鈴木が優しい声色で言った後、「あー」となっている大人達に、正解した子供が言った。 「僕もマンションで暮らしてるけど、学校から帰ったら、いつもエレベーターのボタンに手が届かないんだもん」 なるほど…実体験から導き出した正解か。 「では、1問正解したキミにコレを預けておきます」 鈴木は正解した子供にすごろくのコマのようなもんを1つ渡す。 「皆さん、1問正解するごとにコマを1つ渡すので、クイズが終了するまで失くさないようにして下さい」 クイズが終了した時に1番コマを沢山持っていた客が優勝か。 そうなると俺が優勝したら八百長疑惑が出るな。 だが、俺のそんな思いを他所に、その後も頭を悩ます問題が続出し、気付くとコマを1番多く持っていた客は、ぽっちゃりしてる若い女だった。 「それでは優勝した貴女には、このクーポン券を差し上げます。期限は無いので、いつでもいらして下さいね」 鈴木がクーポンを渡すと、パラパラと拍手が湧き起こった。 楽しい時間は、あっという間に過ぎ、イベントが終わる頃には客は殆どが笑顔になっていた。
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