第2話

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第2話

▶結婚披露宴会場・外・受付口付近(1月19日・昼・披露宴開始前)       中学時代の同級生である新郎の招待で結婚披露宴に出席する瑛       斗。受け付けを済ませた瑛斗がトイレへ行こうとすると、トイレ       から出て来た恵夢を偶然見つける。 瑛斗「赤峰さん」 恵夢「えっ。緒方さん」 瑛斗「こんな所で会うなんてすごい偶然だね。てか職場以外で会うなんて初め    てじゃない?」 恵夢「そうですね。びっくりです」 瑛斗「俺、新郎が同級生でさ。それで招待されてんだけど」       瑛斗を見つけた瑛斗の友達が、瑛斗に気づかれないよう近づいて       驚かす。 友達2「よっ」 瑛斗「わっ」 友達2「ナンパしてんじゃねえよ」 瑛斗「してないって。同じ職場の赤峰さん。(恵夢に対して)ごめんね。人見   知りとか1ミリもしない奴なもんで。これは中学からの友達で、信助」 友達2「どうも。人見知りを1ミクロンもしない佐伯信助です」        ……  第1話で瑛斗と新年会をしていた友達2の名は、佐伯 信助(さ        えき しんすけ)25歳。瑛斗とは中学、高校が同じ同級生。       少し緊張している恵夢。 恵夢「初めまして。緒方さんと同じ職場で後輩の赤峰です」 信助「うん。聞いた。下は?」 恵夢「え?」 信助「赤峰さんってのは聞いたから下の名前」 恵夢「あ…」 信助「もういいって。いきなり親しげにされてもOKって人の方が少ないんだ    よ」 恵夢「赤峰恵夢です」 信助「恵夢ちゃん。(瑛斗を指して)こいつ彼女に振られたばっかだから優し   くしてあげてね」 瑛斗「だからもういいって。余計なこと言うなよ」       少し緊張がほぐれた恵夢が笑う。 恵夢「ふふっ」 信助「ほら。恵夢ちゃん全然怒ってないじゃん」 恵夢「じゃ、私新婦の親族で手伝いがあるので、これで失礼します」 瑛斗「そうなの?ごめんね。足止めして」       立ち去ろうとする恵夢。 信助「またね。暇になったら、あとで俺らの席にでもおいで」       会釈して受け付けの手伝いに戻った恵夢。その直後、夕海がいる       ことに気づいた信助が夕海に声をかける。 信助「夕海」       夕海に気づき、驚く瑛斗。 瑛斗「あっ」       信助を見る夕海。すると信助の隣に瑛斗がいたので驚くも、平然       を装い信助と瑛斗に近づく。 夕海「(瑛斗に対し)あぁ、新婦がうちの看護師でね」 信助「受け付けは?」 夕海「まだ、これから。それじゃ」       受付口へ向かう夕海。夕海を目で追う瑛斗。 ▶結婚披露宴会場・新郎新婦の席(1月19日・昼・披露宴中)       披露宴が始まって1時間ほど経過。新郎新婦の席へ行く瑛斗と信       助。 信助「新郎くんおめでとう」       信助が新郎のグラスにビールをつぐ。 新郎「おう、信助。久し振り。ありがとう」 信助「おい、瑛斗。撮れよ」 瑛斗「あ、うん」       スマホを取り出す瑛斗。瑛斗、信助、新郎、新婦で顔を寄せ合っ       て自撮りする。 新郎「エムト。後で(画像)送って」 瑛斗「うん。…瑛斗ね」       自席へ戻ろうとする瑛斗と信助。 瑛斗「あ、俺トイレ」 信助「あん」       瑛斗と別れ、先に自席へ戻る信助。 ▶結婚披露宴会場・瑛斗と信助の席周囲(1月19日・昼・披露宴中)       瑛斗はトイレを済ませたあと、ドリンクを取って自分の席に戻        る。すると恵夢が自分の席に座っており、信助と話しをしてい       る。 瑛斗モノローグ「赤峰さん本当に来てる!」       席がないので、信助を椅子から半分押しやり、信助と同じ椅子に       座る瑛斗。 瑛斗「赤峰さん無理に呼んだんだろう」 信助「無理になんて失礼な。お父様公認なんだよねっ、恵夢たん」 赤峰「まぁ、はい」 瑛斗「いやいや。早すぎでしょ。何その急展開」       恵夢の隣の席に座る女が瑛斗に説明をする。 女「恵夢がドリンク取りに行っているとこに、ちょうど佐伯さんが来て。   で、2人で話してたら、そこに恵夢のお父さんが来て…」 ▶【回想】結婚披露宴会場・ドリンクテーブル前(1月19日・昼・披露宴中・恵夢の父、恵夢、信助の会話)       数分前。かなり酔っている恵夢の父が信助と恵夢に話しかける。 恵夢の父「(信助を見ながら)いやー、恵夢ともっと仲良くしてやってくださ     い。よく見たらかわいいでしょ。でも全く浮いた話がなくて。(恵夢を見   ながら)今日はもう手伝いとかいいから、な。あははははは」 ▶結婚披露宴会場・瑛斗と信助の席周囲(1月19日・昼・披露宴中)       前記【回想】を瑛斗に伝えた女の話が続く。 女「…て、感じになったらしくて。(恵夢を見ながら)恵夢のお父さんお酒飲   むとね」       女のことを誰なんだろうと言う顔をして見ている瑛斗に気づいた       女。 女「あっ。で、私はこの子に、緊張するから一緒にって言われてついて来た、    従姉妹の池崎ひろはです」    …… 恵夢の隣に座る女の名は、池崎 ひろは(いけざき ひろは)25       歳。恵夢の母方の従姉妹。 瑛斗「赤峰さんの同僚で緒方瑛斗です」 信助「な。無理に連れて来てないだろ。(ひろはを見て)で、ひろはちゃん。     【佐伯】じゃなく【信助】でいいよ。で、こいつ(瑛斗)は【エムト】で    OK。なんでってー? こいつが変態M野郎だからー」 瑛斗「おい、いきなり変なこと教えるなよ。(恵夢とひろはを見ながら)嘘。   Mとか嘘だから。ね」       赤面する恵夢。笑うひろは。 ひろは「あはははは。了解でーす」       瑛斗、信助、恵夢、ひろはの談笑がしばらく続く。しかし夕海が       気になり、夕海の席を度々見る瑛斗。そこへ遅れて来た瑛斗と信       助の友達が現れる。友達に気づく信助。 信助「おう。月渚」 友達1「遅くなった。もう終わっちゃうよな」    …… 第1話で瑛斗と新年会をしていた友達1の名は、向井 月渚(むか       い るな)26歳。瑛斗とは中学が同じ同級生。信助と月渚は小、        中学が同じ。              月渚の席に座っていたため、席を立とうとするひろは。 ひろは「すみません」 月渚「あ、いや」 信助「俺らがどくから大丈夫。煙草吸ってくるわ。月渚、急いで食えよ」       立ち上がる信助。席を立たない瑛斗。 信助「おい。瑛斗。お前もだよ。どかないとみんな席ずらせないだろ」 瑛斗「(はっとした様子で)あぁ」 ▶結婚披露宴会場・外・喫煙所・中(1月19日・夕方・披露宴中)       喫煙所の瑛斗と信助。信助は煙草を吸い、瑛斗はスマホを見てい       る。 信助「俺、これ終わったら今日は帰るわ」 瑛斗「えっ。2次会行かないの?」 信助「あん。お前は行くんだろ?」 瑛斗「うん。たぶん」 信助「たぶんて。行けよ。新しい出会いがあるかもしんないだろ」 瑛斗「ははは。かもな」 信助「ったく、気のない返事だな」 ▶結婚披露宴会場・外・出入り口付近(1月19日・夕方・披露宴終了)       披露宴が終わり、会場の内外は立ち話をする人達で賑わってい       る。その中で談笑する瑛斗、信助、月渚、恵夢、ひろは。瑛斗は       会話に参加しながらも、夕海を探している。しかし夕海を見つけ       られない。       2次会行きのバスへ移動し始める瑛斗以外の4人。 信助「恵夢ちゃん、ひろはちゃん じゃあね」 恵夢「楽しかったです。ありがとうございました」 ひろは「また飲みにでも行きましょう」 月渚「おい。瑛斗(2次会行きの)バス乗り遅れるぞ。行くぞ」 ▶2次会場・中(1月19日・夜・2次会中)       瑛斗、月渚、恵夢、ひろはで酒を飲みながら談笑している。夕海         からの連絡があるのではないかと思い、度々スマホを見る瑛斗。       しかし連絡はない。 月渚「瑛斗。ひろはちゃんと恵夢ちゃんが次どっか行こうって。行くよな?」              少し元気がない瑛斗。 瑛斗「あ、うん」 月渚「なんだよ。飲んだ時くらい楽しめって」       気持ちを切り替える瑛斗。 瑛斗「だな。何次会まで行く?」 ▶精神科病院・夕海の執務室・中(1月19日・夜)       披露宴終了後、早々に披露宴会場を出た夕海。2次会には行く気       がなかった夕海は帰宅前に病院へ寄り、溜まっていた事務仕事を       片づけていた。時計を見る夕海(午後7時半過ぎ)。帰宅しよう        と席を立つ。 ▶カラオケ店・客室・中(1月19日・夜)       2次会場を出てカラオケ店に移動した瑛斗、月渚、恵夢、ひろ       は。ひろはが歌を歌っている。ソファーに座ったまま寝ている瑛       斗。次第に隣に座る恵夢の肩に頭を乗せる。赤面する恵夢。それ       に気づく月渚。 月渚「おい。エムト起きろ。セクハラだぞ。おい」 ▶アパート・玄関(1月19日・夜)       部屋の前に立つ夕海。玄関のドアが開く。夕海を出迎える信助。 信助「おう」
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