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「どういう意味だ?」 「勇者はバルラッド王国を征服してはその名をクラガン帝国とし、そこを拠点に周辺国も次々と制圧しては着実に勢力を拡大させております」 「――#%&¥!?」  余りに予想外の事を言われたぺぺは、思わず身を乗り出し自分でも訳分からない言葉を発してしまった。  だがすぐさま乱れた心を落ち着け、魔王としての自分に戻る。 「んんっ! ――ということは勇者は我輩を倒そうとしていないということだな?」 「はい。自分の帝国を築き、それを拡大させています。それも有無を言わさぬ実力行使で。このままだと恐らく先に勇者がこの世界を取るかと」  しかし今度のペペは依然と落ち着き払いそれを鼻で笑い飛ばした。 「ふっ、丁度いい。その後で勇者を潰しまとめて征服してやればいいだけの話。元より人間など一人残らず敵だ」 「……。実はそれだけではありません」 「どうした?」  魔族は少し言いずらそうな表情を浮かべるが、ペペを待たせては悪いと思ったのかすぐに口を開いた。 「極悪非道な行動を何の躊躇いもなく行う勇者の姿に、魔族を含め魔王軍の全てが寝返りました」 「――#%&¥!? えっ? えっ? なんて? 今なんて言った?」  謎言語の再来は意外にもすぐだった。しかも先程までの貫禄ある声から一変し、動揺丸出しな高め声なってしまうペペ。 「ヌバラディール様の手下は残っておりません」 「え? 一人も? えっ――ちょっと待って……。ちょっと待って。一旦、頭整理するから」  そう言うとペペはまず気持ちを落ち着かせる為に深呼吸を繰り返す。
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