4人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
妻の死と言う悲しい出来事を経て、私が一つ決めたことがある。
「春斗、大好きだよ。大きくなってもパパと一緒に遊んでね。」
「うん、僕もパパ、だ~い好き!」
それは、思っていることは出来るだけ早めに相手に伝えるということ。
今思うと、妻にはあまり『愛している』と言う言葉を伝えなかった気がする。
後悔先に立たず。
今では、あぁ、もっと妻に気持ちを伝えていればよかったとか、あの時優しくしていれば……と思う。
気が付くと、たら、ればを口にしてしまう自分がいる。
だからこそ、私は出来るだけたくさんの人に、この気持ちを知って欲しい。
何気ない日常を、大切に思って欲しい。
何気なく交わした言葉が、最後の言葉になるかもしれない。
何気なく受け取ったお弁当が、最後のお弁当になるかもしれない。
目の前にある笑顔が、最後の笑顔かもしれない……。
だから私は、いま、こうして何気なく送ろうとしている日常を、『奇跡』だと思って生きている。
もう、妻はいないけれど、これからは大切な息子と奇跡のような時間を過ごしていきたいと思う。
毎年こうやって、妻と見た桜を見上げて、話して……。
大切な思いは、その都度伝えられる、そんな日々を送っていきたい。
最初のコメントを投稿しよう!