3 嫌われた皇妃

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 こぼれたお茶をひとなめしてみる。 「皇妃様!?」  ハンナが止めようとしたけど、それを手で制した。  いざとなったら【解毒】の魔法がある。 「大丈夫ですか?」 「これくらい平気よ。……原因はお茶に入っていた毒のようね」  ハンナは青ざめた顔で、私を見る。 「何度も私が倒れていたのは、食事に毒を盛られていたからもしれないわ」  未来では、愛されない皇妃ユリアナは嫉妬に狂い、冷たい夫に絶望して心を病んで亡くなったと言われている。  心を病むのもわかる。  皇宮全体がユリアナを大切にせず、クリスティナの味方なのだ。  ――ユリアナは孤独だったのよ。本人になってみないとわからないものね。  心の弱い人間であれば、傷つき怯え、疑心暗鬼に陥り、まともな判断ができなかったはずだ。  けれど、私は大魔女ヘルトルーデ。  聖女ではなく魔女である。  冷たい夫に期待してないし、クリスティナに嫉妬心はゼロ。  ユリアナになってしまった私が、この先どうしていくべきか――夕暮れの冷たい風に身を震わせた。
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