身から出た錆

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 俗物の輪に収まる、即ち因循姑息なムラ社会に皆と同じようにして安住する者どもは死に際になって本当にやりたいことがやれなかったと後悔するものだ。何しろ付き合いを重視する余り人に合わせる機会が多くなるだろ。逆に俗物たちから変わり者または異端者扱いされる人はくだらない付き合いはしないし、本当にやりたいことをやっているのである。それが本来、価値あること評価されるべきことであっても世間からは認められずドロップアウトする。得てしてそういう人の中にこそ後世に異人と讃えられる人がいる。 「一人の人間の評価と価値は心と意志の中にある。そこに人間の本当の栄誉が宿るのだ」  これはモンテーニュの名言であって大事なのは世間体ではなく中身の魂なので、あるべき自分であらねばならんのだ。ソクラテスだって言っただろ、魂の探求のない生活は人間にとって生きがいのないものだと。然るにムラ社会に順応できるよう魂の探求をしないどころか魂を捨て空虚な自分に甘んじている者が大半を占めている。実際、自分がないのだ。自分がないまま無難志向あるいは事なかれ主義に則り空気を読んで当たり障りないよう細く長く生きることを至善と心得ている輩程、度し難いものはない。斯様な人畜無害なちゃっかり者に限ってマンネリな生き方が慢性化し退化劣化しながら惰性で無駄に長生きする。こういうのが一般化して高齢化社会になり国の財政を脅かす位、金食い虫になる老人を大量に抱え込んでいるのが日本だ。こいつらがまた厄介なことにほぼほぼ善人面した偽善者と来たもんだ。そう思うと、穏やかそうに福々しくにこにこしているじじばばが若者や子供の未来を暗くしているようで殊更悪人に見えて来る。皮肉にもそいつらの年金を支えているのは現役世代の若者たちなのである。シルバー民主主義なのか、それも老害を齎す資産家たちの為の…若者による高齢者ヘイトスピーチが叫ばれるのも無理はない。  小生もまた裕福そうな老人たちによる花見なんか見ると、日本の将来をそっちのけにして栄耀栄華を極めているようで鼻持ちならなくなる。だからと言って早く死ねと言っているのではない。金持ちのじじばばを責めても仕方がない。責めるべきは愚民化、衆愚政治、新自由主義を推し進め、原子力ムラ、ITムラ、感染症ムラ、地震ムラ、土地改良ムラなどイノベーションが起き得ない社会構造を作り出し、大規模金融緩和政策、防衛費倍増、予算配分、政治資金、企業献金、補助金、裏金その他諸々金の使い道を悉く誤り、円の価値も信用も失い、実質賃金もGDPも低下させながら老人たちを金食い虫に思わせる程、財政を悪化させ、社会保障の公費負担を削減し続ける政府だ。
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