流行批判や読者批判はお勧めしませんよという話

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 近年、目に余るなと思うことがあります。  執筆者、作家、いわゆる書き手による「世にある作品傾向そのものの批判」あるいは「それらを好む読者への批判」です。  ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんね。だとしたらとても健全な環境で羨ましいことです。その環境、大事にしてください。  ちなみに一応ご説明しておくと、作品傾向批判とはここしばらく流行っている「異世界転生系」や「異世界恋愛系」のようないわゆる「なろう系」「テンプレ作品」などと呼ばれるものですね。そういったものをやれ低俗だワンパターンだつまらないだと、読者ではなく書き手側が批判しているのを見掛けてしまうことが、まあ、残念ながらあります。  歴史に名を残す大文豪たちも当時は世間から低俗なものを書いていると言われていました。手塚治虫や永井豪のような大先生も幾度となく社会からバッシングされてきました。  彼ら先人やその作品を崇めながら一方で現代の執筆者や作品に対しておなじことを行っているのが読みもしない第三者や読者であればまだしも、書く側の人間なのだからなかなかに厳しい話です。  テンプレ、ワンパターン、つまらない。なるほど。  まあ私の見解は以下の通りです。  そもそもテンプレなど言い出せば起承転結も三幕八場構成もテンプレです。基礎となるそれらのテンプレの上のレイヤーに新たなテンプレがあって損するひとは誰もいません。  二次創作界隈でも言うじゃあないですか。「おなじネタを百人が描いててもまだあなた(わたし)が描いてない」というやつです。  そのテンプレが弱いと思うならあなたが自ら洗練すればよろしい。テンプレをより洗練してはいけない理由などどこにもないですし、世の先駆者になれますよ。  ワンパターンもそう。流行っているのであればそのパターンは“これから王道となり得る”兆しがあるということです。そもそも王道だって最初は道なき道を切り拓いていたのです。それを後続となる書き手が踏み固めて道になり今に至る。そう考えれば書き手のひとりとしてむしろ喜び勇んで加わるところではないですかね。遠巻きに指差して冷笑していたってなんにも良いことはありません。  つまらない、は、ちょっとこれはそのなんというか、面白いから流行ってるんですよ。つまらないはそれってあなたの感想ですよね。シンプルに多くのひとと感性が違ったんだなって現実を受け止めることをお勧めします。  ちなみに私も流行作品を視聴して「なにが面白いのか全然わからん」「何故これをアニメ(書籍)化した」などと少なからぬ作品に対して思っています。でも基本的にはそれを発信したりはしません。  そんなものが面白いと思ってるひとの目に入ったら嫌な思いをさせて敵に回すだけだからです。  まあ酔った勢いでたまにぶちまけてたりしますがだいたい翌朝肝を冷やしてそっと消しています。いけませんね。毎日が黒歴史の最終更新日です。
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