最後に、もう一度だけ。

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「川瀬、さん」 「大丈夫?具合悪くなっちゃった?」 川瀬の腕にしがみつき、首を振る。 「思い出しました。今までごめんなさい‥‥」 「それは大丈夫。今日は実家のトマトを 見せたくて連れて来ただけだったから。 だけど全部、思い出したんだね?」 「はい‥‥」 川瀬に頭を撫でられながら涙を流した。 あんなにインパクトのあることだ、 きっと自分の精神が追いつかなくて 一時的に記憶を遮断したんだ。 怖かった、たとえ隣に川瀬がいても。 まさに死と隣り合わせだった、あの時間は。 「大丈夫?じいちゃんに会わせるよ」 川瀬に抱えられ、ゆっくり立ち上がった。
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