君と、サクラ

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5年が経った。 私はカフェで働きながら、カフェソムリエの資格を取る勉強をしている。 地元に帰省するのは久しぶりだ。 快速列車の揺れに合わせるように、胸が高鳴っている。 陸は、来てくれるだろうか。 5年経った今でも、三吉公園のソメイヨシノは満開の桜を枝いっぱいにぶら下げて、風が吹くたびに春の雪みたいにヒラヒラと舞っていた。 「オモテノコヅチ!」 後ろから、懐かしい声が聞こえる。 私は瞼を閉じ、ソメイヨシノの太い幹にそっと触れて心の中で "神様、ありがとう" と呟いた。 私は振り向いて、声の主に微笑みながらあの時言えなかった言葉を言った。 「やっぱり運命かな?私たち」 了
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