君と、サクラ

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〖 突然、サクラの木の下で 〗 結局、陸とはエッチはしなかった。 それは室谷が私に一番聞きたかった事なんだと思う。 授業中でも部活中でも、生理痛とか手軽な嘘をついてはスクールカウンセラーの室谷の部屋に入り浸っていた。 「お前、月に何回生理あるんだよ?」 室谷は半分呆れて半分面白がって言った。 「20回」 そう答えた自分自身にも呆れた。 「授業つまらんか?」 「なんでそんな事聞くの?」 「心配だから」 「嘘つき」 室谷は間抜けな顔になって 「心配が半分。半分はそれが仕事だから」 と白状した。 「正直でよろし」 私はクーラーがガンガンに利いたその部屋で必要以上に汗をかいて走る男子たちを見下ろす。 「こんなクソ暑い日にサッカーさせるとかブラックだろ、この学校」 呟くと 「選択科目だろ。サッカーか水泳か選べるはずだぞ」 と室谷は日差しの強さに目を細めた。 「ナイッシュー!日鳥!!」 パチパチと拍手が起こる。 誰かが格好良くシュートを決めたらしい。 「おー、日鳥かぁ。アイツ相変わらず上手いな」 室谷が言った。 「誰?」 「日鳥 陸だよ。サッカー部のエース。お前学年一緒だろ?」 「知らない」 私は笑顔でボールを追い続けている日鳥 陸を見つめる。
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