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 ボクは、おかあさんを呼びながら歩いた。  でも、歩いても歩いても、おかあさんの匂いに  辿り着かない。  おなか、すいた…。  ボクは、疲れてうずくまった。 「あれ? 猫だー」  誰かが、ボクをひょいと持ち上げる。 「元気ないね、猫ちゃん。キミ、捨て猫?」  人間の女の子だった。  女の子は、髪が長くてセーフク、というものを着ていた。   「お腹空いてるのかなー? 牛乳とか飲むかな?」  女の子は、ボクを抱いたまま歩いて、建物の中に入った。 「ただいまー。お母さん、牛乳とか小魚とかない?」  おかあさん? おかあさんがいるの?  でも、ボクのおかあさんの匂い、しないや…。 「もう、お父さんが動物嫌いなの知ってるでしょ?  元いたところに戻してきなさい」 「えー……。かわいいのに……」  元いたところって……またあの箱の中に戻されるの?  戻しちゃうの? 戻しちゃうの?  心配になって女の子の顔を見ると、女の子はボクを  どこかの部屋に連れて行った。  そして、ボクにミルクをくれた。  ボクは、あまりにもおなかがすいていて、  ミルクをたくさん飲んだ。  でも、これを飲んでから、捨てられちゃうのかなぁ? 「あ、そうだ! 明日(セリ)に頼んでみーよぉっと!」  どうやら、ボクは捨てられずに済むみたいだ。  でも、そのセリって人がボクのこといらないって言ったら…?  そしたら、また捨てられちゃうのかな…。
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