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次から次へとあふれだす涙をそのままにして、駐車場の自分の車へと、急ぎ足で向かう。
大地から死角になる場所に行ったら、涙を拭こうと思った。
その時、大地が駆け寄ってくる足音がして、続けて、ぐいと二の腕を乱暴につかまれた。
振り向かされ、もう一方の二の腕も、つかまれる。
「僕がまいさんを必要だって言ったら、ずっと、一生っ……側にいてくれる!?」
勢いに任せて言ったようで、私の顔を見た大地は、驚いたように言葉をつまらせた。
「……泣いて……いたの……?」
「うっさいわね!」
両腕をつかまれて思うように涙をぬぐえずにいる自分が、恥ずかしいやら情けないやらで、八つ当たりぎみに大地に怒鳴った。
ふっ……と、目もとを和らげて、大地が言った。
「なんでだろ……この前は、まいさんの泣き顔を見て、すごく苦しかったのに……今日は、すごく嬉しい。
……あと、笑える」
「人の顔見て、笑ってるんじゃないわよ、バカ! 手、離しなさいよ!」
「ヤダ。まいさんが、僕のさっきの質問にうなずいてくれるまで、離さない」
「信じらんない! ずっとこのまま情けない顔を私にさらさせるつもり!? サイテーな男ね、あんたっ……───」
見事に唇をふさがれて、あんまりにも悔しくて、その舌噛み切ってやろうかと思ったのに。
身体の方が、心よりずっと素直で、大地のくちづけに応えてしまう。
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