12.望むもの全部、あげる

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そういう関係だと、大地は恋愛できないの? 信じることが、できない? それならそれで、確かにもう私たちの間には、一片の繋がりも残っちゃいないわ。 あんたはあきらめるって言ったものね。上等よ。お望み通り、言ってあげる」 私は笑った。 大地も、自分自身も、あざけるように。 「大地と姉弟じゃなくて、私、本当に嬉しいわ」 言って、きびすを返す。 来た道を、大地に指し示した。 「私は、一人でも行くわよ。少ないとはいえ、何人かの男と付き合って、別れてきたんだもの。 また繰り返すだけだわ。 また……私を本当に必要としてくれる存在を、探すだけ」 鑑定書を握りしめたまま、大地は身動(みじろ)ぎひとつしない。 宙を見据えたまま、私の言葉を聞いていたのかいないのか……なんの反応も示さなかった。 「……先に車に戻っているわ。落ち着いたら、来なさいよ」 手をつないで歩いて来た道を、今度はひとりで歩いて行く。 隣にいて欲しかった存在は、もういない。 大地が『実の姉』としての私しか必要としないのなら、仕方ない。 『母親のような姉』としての私しか望まないのなら、どうしようもない。 『血の繋がり』しか求めていないのなら……───。 そこまで考えて、私はもう、涙をおさえることができなかった。 ……大地にとって、恋愛関係を結ぶ相手が近親者でなければ意味がないのだとしたら、私は───。
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