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みのりんの出したボートが難破した。
料理人のみのりんは、何とかっていう魚をどうしても欲して、そのゲットの瞬間の証人に俺を仕立てるべく連れ出して。で、こんなことに。
つまり、俺たちはこの島に流れ着き、クローズドサークル的なことになっている……。
「ちょっと待て。待て待て」
「待たない待たない、裕貴くんの選択肢は二つだけ、これを食べるかそれとも『ティラノザウルス』と結婚するか、どっちかだから」
みのりんがぐいぐいと板切れ上の料理を押し付けてくる。
「ティ……?」
「みのりんにもそれは止められない自然な流れだから」
差し出される料理を力いっぱい押し返すことで、みのりんのよどみない軽口をぶった斬ろうと俺は試みた。
しかし貧相な体格のくせして意外に力持ちなみのりん。俺は逆に押し戻され、後ずさりし、ついには尻餅をついた。
鼻先に突き出されたその料理の形は、明らかにある動物のシルエットであり、独特で強烈な臭いを放っていた。
――何だって? このゲテモノ料理か、はたまた『ティラノザウルス』と結婚か?
何でそんなことになるんだ?
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