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1.ベタな展開
これが物語の始まりだとしたら、何とベタな展開だろうか。
雪降る街角、一人の女性が複数の男性に絡まれている。男女共に若く、男性側は見るからに柄の悪い半グレ集団といった体。内一人が女性の腕を掴み、無理にどこかへ連れていこうとしていた。
「放してっ!」
「おいおい、これは親切で言ってるんだぜ? この辺りは物騒なんだ。人攫いが出るって噂だぜ。知らねーか? 男女問わず若い奴らが度々行方不明になってるんだよ」
「だから、お姉ちゃんもこんな所で一人で居ちゃ危ないぜぇ? 俺らが安全な所まで連れてってやるって言ってんだよ」
女性からしてみれば、その言葉のどこに信憑性があるというのか。迷惑そうに顔を顰めて、腕を振り払おうと藻掻く。
「余計なお世話だって言ってるの! あんた達こそ、その人攫いなんじゃないの!?」
「おっと、人聞き悪ぃな。俺らは可愛い女の子にしか声掛けねーよ」
「そうだぞ! そんな風に言われたら傷付くわー。こりゃ、是非とも詫びに付き合ってもらわなきゃな!」
「いやっ、放して! 誰かぁ!」
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