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急にひとりになるという実感が襲ってきて、慌てて彼の袖を弱く掴む。
スーツ姿が似合う彼は、闇に溶け込んで消えてしまいそうだなとふと思った。
「どーした?」
心配そうに顔を覗き込まれ、自分でもなぜ彼を引き留めたのか不明瞭だったことに気付く。
なにを言うべきか思案していると、麗日はそんなわたしを責めることなく優しく尋ねてくる。
「ん、寂しい?」
そう首を傾げられ、わたしは寂しいのかと自問自答する。
麗日に拾われてからは、彼がそばにいることが当たり前になっていて、あまり離れた場所にいることはなかった。
彼がこの部屋にいなくなると、冷たくて孤独な日常が戻ってきてしまいそうで怖くなる。
その衝動が、麗日を引き留めてしまったのかもしれない。
「……うん」
あわよくば、どこにも行かないでほしい。
そう言いたかったけれど、我慢した。
そして、それほどまでに彼のことを信用してしまっている自分に驚いてしまう。
麗日はと言うと、わたしの髪をくしゃくしゃと乱しながら言葉を紡いだ。
「この仕事は危ないから、どうしてもうるを連れてくことは出来ねえの」
「……う、ん」
「でも絶対すぐ終わらせて帰ってくるから。少しの間、いい子で待っててな」
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