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スノードロップ あなたの死を望みます
洋風の白い木枠の窓に小雨が降っている。蒼井 真希は自然風景を主に撮るフォトグラファーで数年前、田畠が続く山間の鳥越村に一人息子と共に移住した。
「あっ、あっ」
緩んだ臀部に引き締まった肌が前後し、喘ぎ声は次第に激しく息遣いは荒くなった。女の手はベッドのシーツを皺が寄る程に掴んだ。
「た、拓真」
「・・・・」
パンパンと下腹が打ち付けられ女の身体は前後した。
「あ、あ」
女は腕を伸ばしてシーツの波を掻き分け、枕元に設置してあったカメラを録画モードから撮影モードへと切り替えた。カメラのファインダーを覗き、腰を振り続ける若い男の顔を見上げた。
「いい顔、良い顔よ」
カメラの革のストラップが前後しシャッター音が続いた。
「くっ」
眉間に皺を寄せ口元が醜く歪んだ。
「たく、まっ」
女はカメラのレンズ越しにその若い男を拓真と呼んだ。
カシャ
カシャ
カシャ
「いい、その顔、堪らないわ」
結合部分に体液が滴る。
「・・・んぅ!」
若い男は腰を震わせると身体を仰け反らせ女の膣内から萎んだそれを抜いた。シャッター音が続く。
「今夜も良かったーーぐぅっ!」
満足げな声が一瞬にして人間のものでは無くなった。蟾蜍が車に踏み潰された音に近かった。
ゆっくりと振り向く。
「蒼井先輩」
「佐原、さん」
そこには少女が茫然となり見下ろしていた。窓ガラスに激しく雨が打ち付け始めた。
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